Oculus GOろ寝のススメ
TL;DR;
- Oculus GOは今までのHMDではやりづらかった「寝て使う」という使い方ができる
- Oculus GOを寝て使う(以下、GOろ寝)のに適したアプリをいくつか紹介
- 皆もっとGOろ寝しよう!そしてアプリ開発者はもっとGOろ寝のことを考えよう!
はじめに
こんにちは。なもなきです。
突然ですが、皆さんOculus GOは購入されましたでしょうか。
Oculus GOはスタンドアロンで動き、さらに二万円強の価格(←超重要!)で購入することのできるHMDです。被って3秒でVR、な体験はOculus GOならではで発売からまだ二ヶ月経ってないにもかかわらず大きな話題を集めています。
以降は完全にOculus GO購入者向けの記事となります。持ってない人は今すぐ上のリンクからOculus GOを購入されることをおすすめします。
さて、皆さんはどのような姿勢でOculus GOを使用しているでしょうか。 椅子に座って使う、地べたに座って使う、立って使う、などなど、皆さん思い思いの姿勢でGOを利用されているかと思います。
(こちらは便座に座ってVRミーティングをしている@GOROmanさんの様子。)便座交渉中 pic.twitter.com/6JVIXaP0fh
— GOROman 🍤 (@GOROman) May 30, 2018
その中で、私が一番Oculus GOでおすすめしたい姿勢が「寝る」という姿勢です。 しかし、現在Oculus GOで利用できるアプリはほとんどが「寝て使う」ということを想定されておらず、非常に歯がゆい思いをしています。
そこで、今回はOculus GOがいかに寝て使うのに適したデバイスであるかを説明し、さらに寝て使うという行為にフォーカスしていくつかのアプリのレビューをさせていただきたいと思います。
GOろ寝がアツい!
Oculus GOはその様々な特性から、これまでのVR機器では敷居の高かった「寝て使用する」というシーンを簡単に体験することができます。また、Oculus GOが持ついくつかの弱点も「寝る」という姿勢をとることによりカバーすることができます。そのため、Oculus GOは様々なVRHMD(ハイエンド機器を含む)の中で最も寝て使用することに向いている、と言っても過言ではありません。以下、その理由をいくつか述べていきたいと思います。
Oculus GOが寝て使うことに適している理由
ベッドに簡単に持ち込める
まず、大前提としてHMDを寝て使うためにはHMDをベッドに持ち込むことが必要です。「そんなの当たり前だろ」と思うかもしれませんが、これが意外と敷居が高いです。というのも、現在主流なPC系VRやゲーム機を使ったVRはHMDとは別に機材のセッティングが必要なため、ベッドの近くにそれらの機器を持ち込む必要がありますが、これが非常に面倒です。そもそもPCの近くにベッドがあるかどうかわかりませんし、電源の関係上近くに持ってこれない場合もあります。また、近くに持ってこれたとしてもコード等が邪魔になってしまい寝返り等を打った場合に体験が阻害されてしまいます。
一方、Oculus GOはスタンドアロンで動くHMDのため、電源等のコードを必要とせず簡単にベッドに持ち込むことができるうえ、先述したようにHMDを被れば3秒でVR体験ができます。これは、PC等を必要とする他のHMDにはなかなかない魅力です。
頭を枕にぐりぐりしても安心
スタンドアロンHMDのもう一つ有名なプロダクトとして、Mirage Soloがあります。しかし、Mirage Soloは見てもらえればわかるとおり、後ろのバンドがプラスチックでできているため、枕で寝て使おうとするとバンドが当たってしまって痛い目を見ることになります。(Mirage Solo未購入なので間違いがありましたらご連絡ください)
その点、Oculus GOはゴムバンドで後頭部を固定するため、HMD背面を後頭部に押し付けても一切問題ありません。そのため、枕の上でHMDを使っても不快感なくVR体験を楽しむことができます。
重さが軽減される
ここまでは「Oculus GOがHMDの中で寝て使うのに適している理由」を述べましたが、ここからは「Oculus GOを寝て使う」ことのメリットを述べていきます。
HMD一般のデメリットとして、被っていると意外と重さを感じるという点があります。Oculus GOは470gとHMDの中では比較的軽い方なのですが、それでも被っていると意識しないと頭を下に持ってかれる感覚があります。これが意外と曲者で、VR体験が疲れてしまう原因となりがちです。そこで、HMDを寝て使うことで、HMDを被った姿勢を維持するために余計な力を使う必要がなくなり、楽にVR体験を楽しむことができます。
頭を固定するので3DoF/センサなしのデメリットを打ち消せる
これはちょっと専門的な話になります。
Oculus GOの現在主流なHMD(Rift, HTC Vive等)と比べたデメリットとして、3DoFなためポジショントラッキングができない、という点があります。これは真面目に説明すると少々長くなってしまう(詳しくはこちら)のですが、某イラストサイトに一発で説明できる画像があります。
つまり、6DoFは体の動きや頭の動き等の全身の平行移動をトラッキングすることができますが、3DoFだと頭の回転しかトラッキングすることができません。これは通常のVR体験だと大きなデメリットとなります(スカートの中を見ることができなかったり)。
しかし、寝ることによって頭を固定してしまえば頭を横や縦に動かすことがなくなるためこのデメリットは意識する必要がなくなります。そのため、寝ることでOculus GOのデメリットを感じることなくVR体験を楽しむことができます。
以降、「寝て使う」ことにフォーカスを当てて、いくつかのアプリのレビューをしていきたいと思います。
GOろ寝アプリレビュー
ブラウザ(無料)
まずはOculus GOの基本、ブラウザです。もしかしたらもう寝て使ってる人もいるかもしれませんね。皆さん、寝ながらスマホを使ってて顔にスマホが落ちてきてムキー!ってなった経験はありませんか?僕はいっぱいあります。そのためにアームを買うくらいなら、断然Oculus GOを使うことをおすすめします。Oculus GOならば空中にモニター置いてブラウジングし放題ですし、落ちてくる心配もない。しかも大画面で見れるというオマケつき。GOろ寝初心者の方はまずはここから始めることをおすすめします。
Tiny island Relax(無料)
島をモチーフとしたいろんな視点でVRCGを楽しめるアプリです。いくつかシーンがありますが、GOろ寝的におすすめのシーンは「Hammock」と「Beach Chair」です。この2つのシーンではシートに寝転がって、ヤシの木の下で青空を眺める、という体験ができます。先程のブラウザは平面でしたが、Tiny island Relaxは視界全体に青空が広がっているため被ってすぐVR体験、というOculus GOの利点を存分に活かすことができます。
惜しむらくは、アプリとしての作り込みが少々甘いためすぐに飽きてしまうことと、寝ることをあまり想定していないためか日没などの物理的な時間経過がすぐ進んでしまうこと。波の音などを聞きながらゆったりとした時間を過ごす、というわけにはいきませんがポテンシャルを感じるアプリでした。
Netflix(無料、コンテンツは有料)
(Netflixはスクショ禁止なので画像はありません……ごめんなさい)
言わずとしれた映像配信アプリです。映画感覚で動画を見ることができるということで、発売当初から注目を集めています。 しかし、GOろ寝的におすすめなのは左上から選択できるvoidシアターモード。これで自由にディスプレイを動かすことができ、天井にディスプレイを固定することがすることができます。画面サイズも変更可能。
天井一面のディスプレイで寝ながら見る映画は「最高」の一言。何度もいいますがわざわざスマホやタブレットを持つ必要がなく、うとうとしてデバイスを落とす心配もありません。眠くなったらそのまま寝落ちもOK。
ただ残念なところは、voidシアターモードだとせっかくNetflixがアプリ側で用意したラグジュアリーな空間が消えてしまい、背景が真っ黒になってしまうところ。どうせならもう少し豪華な背景でGOろ寝がやりたかった……。
ちなみにブラウザの節では言っていませんでしたがブラウザでYoutubeを見るだけでも似たような体験ができます。是非やってみてください。
ホームスターVR(790円)
バーチャルプラネタリウムが体験できるアプリです。都会に住んでてなかなかきれいな星空が見れない方でも、被って三秒でMAXの星空を体験することができます。ただ寝っ転がって空を眺めるだけでもかなり充実した体験ができるのですが、このアプリ、かなり作りこんであって画像右のように星空だけでなく星座表示のON/OFFを切り替えることができたり、季節ごとに音声ガイド付きの星座ツアーを楽しむことができます。また、ずっと眺めていると時に流れ星が空を飛ぶこともあり、飽きさせません。有料アプリですが、全体的にクオリテイが高いため値段以上の価値は確実にあると思います。買いです!
まとめ
以上、Oculus GOを寝て使うのが良い理由と、寝て使うという視点からいくつかのアプリをレビューさせていただきました。 しかし、現状ほとんどのアプリは寝て使うというユースケースに合わせて作られておらず、今回紹介したアプリも完全に寝て使うことを想定して作られたとは必ずしもいえません。(前を向かないとメニューが選択できなかったり、そもそもブラウザですら一旦HMDがスリープになるとその都度位置を戻さないといけなかったりする) VRを寝ながら体験する、という視点に立てばいくつも面白いアイデアが湧いてくるかと思います。(添い寝とか、膝枕してもらうとか、絵本を読んでもらうとか) 特にVR添い寝については個人的に一大ムーブメントが起こせそうなくらい可能性を感じています。
www.nicovideo.jp (偉大なる先駆者様(@negipoyoc)。まだDK1が出てまもない2013年にアップされた動画だというのだから驚きである。製作者は確実に未来に生きている。)
(こちらはOculus GOで添い寝を実現してみた例(@hayamaka2hi6)。Unity初めて10日足らずでこのアプリを作られたそうです。今後の改良に期待!)作品名、「出られないベッド」一旦完了です。
— Hirori@ (@hayamaka2hi6) June 14, 2018
物理演算の大切さがわかった。ちょっとここからベッドとの衝突効果とかやってみたい。どんどん課題が見つかる。
とりあえず当初の課題はクリア。
【完了】
・unityで初音ミクを添い寝させる
・oculus goで観る
・oculus goの録画をツイッターに投稿 pic.twitter.com/2dF9PqaaqY
現状は、まだまだ「VRHMDを寝て使う」という概念自体があまり普及しておらず、まだまだ模索が進んでいる状態です(そもそもVRを自宅でやるという概念自体Oculus GO発売まで一般的でなかったので仕方のない部分ではありますが)。 なのでこの記事を通してもっと皆さんがいろんなOculus GOアプリを寝て使ってみて、可能性を模索していただけたらと思います。 また、アプリ開発者の方々におきましては是非アプリ制作時に「寝ながら使う」というユースケースを想定していただけると幸いです。 (Bigscreenみたいな有名アプリでも天井にスクリーンを置くことができず、GOろ寝的に歯がゆい思いをしています)
「このアプリはGOろ寝できてよかったよ!」等の情報がありましたらブログのコメントや@Nam0naki_で教えていただけると幸いです。
以上、よろしくお願いいたします。